プロジェクトマネージャ試験は、情報処理技術者試験の高度区分に位置付けられている試験です。この試験では、プロジェクト管理・運営に関する知識が問われます。
情報処理技術者試験の中では実務的であり、プロジェクトマネージメントのスキルの証明になる資格です。また、有効期限がないので、ある意味一生モノの資格とも言えます。
ネームバリューや内容から言って、情報処理技術者試験の中では、プロジェクトマネージャ資格は一番価値のある資格だと言っても過言はないでしょう。
プロジェクトマネージャ試験の勉強方法を書きたいと思います。
対策のポイント
まず、重要なポイントから書きます。
この試験は実際にプロジェクトの経験があるか、ないかで難易度が大きく変わります。プロジェクトの経験がある場合は、コツさえつかめば、ほとんど国語の問題と言ってもよいでしょう。プロジェクトの経験がない場合は、仮想のプロジェクトベースに論文を書かないといけなくなり、難易度は高くなります。
この記事では、プロジェクトの経験がある方向けに書きたいと思います。
プロジェクトの経験がない方には、取る労力、取った後の価値を考えてもあまりお勧めしません。プロジェクトマネージャという資格は経験とセットでアピールできるものだからです。経験のないプロジェクトマネージャは魅力的ではありません。
午前の問題は知識の問題、午後の問題はロジックを組み立てる問題になり、大きく異なります。午前の問題は、丸暗記すればよいだけなので、1週間前に勉強すればよいです。
したがって、午後1、午後2を中心に勉強をしていきます。
また、試験は何度も受けるつもりで、いつか受かったらラッキーと捉えましょう。理由は設問にどうしても相性があり、運の要素も多分にあるからです。たとえば、調達系の問題は私は捨てていました。
それでは、最初に陥りがちなアンチパターンから理解しておきましょう。
やってはいけないこと
よくやってしまいがちな、アンチパターンを書いておきます。システムアーキテクト試験とほぼ同じです。
予想問題集で勉強してしまう
予想問題集がよく売られているのですが、これは勉強する必要はありません。
分量と質ともに過去出題された問題で十分です。ネットワークやデータベースなどの技術系の区分と違い、プロジェクトマネージャの試験は本質的な部分では、大きな変化はありません。
予想問題集を使うのではなく、過去問を使って勉強をしましょう。
論文集を暗記しようとする
論文試験というと、誰かが書いた論文例を覚えて対策しようとする人がいますが、よくありません。巷の論文例というのは、別の合格が保証されたものでもないので、これを基準に考えるのは危険です。
あくまで自分が経験したプロジェクトをベースに書いたほうが臨機応変に対応できます。
3ヶ月以上かけて勉強する
勉強しすぎてしまうと、不合格のときのショックが大きくなります。
プロジェクトマネージャ区分というのは、そもそも知識は重要視されていません。経験の方が大事なので、経験が足りなかったと思い、また翌年受験しなおしましょう。
目安としては、1か月くらい前から勉強するのがよいかと思います。
使用する参考書
使用する参考書は下記をおすすめします。
過去問もこれ一冊でカバーできています。とてもよくできていると思います。
論文試験がはじめての方は下記の参考書も読んでおくと役に立ちます。
プロジェクトマネージメントが初めてで不安、という方は、読み物として下記を読んでおくとスムーズに入っていけると思います。
午前1・午前2の対策
午前1・午前2ともに1週間前に対策すれば十分と理解しておきましょう。
過去問を解いてみて解けなかった問題をマークしておき、試験直前に目に焼け付けるようにして脳の短期記憶に覚えこませておけば、それだけで対策できますし、一番効率的なやり方です。
少なくとも過去3年分、余裕があればIPAのホームページへ行って過去数年分の問題をダウンロードして練習しておくとよいでしょう。
午後1の対策
こちらも過去問で勉強します。
問題の種類を意識する
問題には種類があります。
- 抜粋型:問題文の中に答えが書いてる類の問題です。抜粋したり要約するだけで大丈夫です。
- ヒント型:問題文の中にヒントは書いてあるが、ズバリ答えは書いていない設問です。これはちょっと難しく、プロジェクトマネージャの一般知識とつなげて答えるようにします。過去問を解いていくと、どんな形で答えればよいか、傾向が分かってきます。
- 知識型:完全に知識をベースに答える問題です。
自分が解こうとしている設問の種類がどれなのか意識すると、解きやすくなります。すべての設問を抜粋型だと思ってしまうと、問題文に答えが見つからないとあせってしまうことになります。
飛躍しすぎないように解答する
あらかじめ、IPAが発表している解答に目を通すようにしておいてください。意外とさっくりとした解答であることに気がつくはずです。
午後2の論文は具体的に書くことが求められるのですが、午後1は具体的にしすぎると、飛躍してしまうおそれがあります。飛躍しすぎると、他の人と違う解答になるので、減点されやすくなると思われます。
自分の書いた解答について、飛躍しすぎていないか、チェックするようにしましょう。
避けるべき設問を認識しておく
プロジェクトマネージャ試験の場合は、明らかに苦手な分野は避けてもよいと思います。PMBOKの分野をベースに問題がつくられているのですが、分野の分け方が明確なので得意な分野と苦手な分野を意識しやすいからです。
たとえば、私は契約・調達系の問題や計算問題はあまり興味が持てませんでした。
全体の3分の2ほどの分野をカバーしておけば、すべてが苦手な分野から出されることはないと思います。
苦手な分野から出題されたら、あきらめましょう。
午後2の対策
章立て・構成の設計で勝負は決まる
午後2の論文では、あくまで問われているのはロジックが通っていて具体的な記述も含まれているかであり、ストーリーの面白さだとか先進性は問われていない、と認識しておきましょう。
設問で問われていることに答えていて、つじつまがあっているかがとても大事です。わかりやすく問われていることを章にして対応づけのもテクニックです。
具体的な書き方は下記の書籍がうまくまとまっています。
できるだけ、定量的に書くことにも注意しましょう。
どうやって人を動かし合意を得ていったかを書く
やってしまいがちなのが、プロジェクトマネージャ試験なのに設計のことを書きすぎてシステムアーキテクトの論文みたいになってしまうことです。これだと不合格になります。
プロジェクトマネージャと他の区分の違いは何か。私は人を動かし合意を得てプロジェクトを進めていくことがプロジェクト運営のポイントだと思っています。
必ず、企画部門、開発部門、ユーザー部門などの人間を出すようにしましょう。そして、それぞれの部門の人が気にしていることは何なのか、どうやって合意を得たのか、書くことが重要です。
過去の午後2の問題文を手本とする
実は午後2の問題文が一番の論文のお手本だったりしますので、過去の午後2の問題文を一通り読みましょう。結局のところ、すべての問題が「俺はこう思うけど(出題者の意図)、お前はどう思う?」と聞いているからです。
プロジェクトマネージャの試験に関しては、午後2は過去と似たような問題が出ることが多々あります。内容がそこまで大きく変化する分野でもないからです。
本番試験の心得
下記が本番当日の心得です。
午前1・2は解けなかった問題を直前に短期記憶(ワーキングメモリー)に詰め込んで臨みましょう。
午後1は答えを書いてさえいれば、部分点はもらいやすい傾向にありますので、空欄は残さないでおきましょう。
午後1は設問の難易度のばらつきや相性はあります。ただ、問題文を読み込まないと判別はなかなか難しいので、問題を選びすぎないようにしましょう。時間の方が貴重です。
午後2はあせらずに章立て・構成を考えるようにしましょう。これさえできてれば、なんとかなります。
午後の問題は、必ず選択した設問に〇をつけたか、チェックするようにしましょう。
本番試験の持ち物
意外と重要なのですが、持ち物も気を付けましょう。
まず、芯が太めのシャープペンが便利です。マークシートを塗るのもはやいですし、論文もスムーズに書けます。一番のオススメは下記です。
消しゴムは、論文試験で消しやすいのを持って行ったほうがよいです。
あと、会場に時計がないこともあります。複雑な機能を持っている時計はダメなので、アナログ時計を持っていくとよいでしょう。私は常にペンケースの中に入れるようにしています。
まとめ
プロジェクトマネージャ試験に合格するためのポイントを書きました。お役に立てば幸いです。
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