電気通信主任技術者試験(伝送交換)に合格する勉強方法

電気通信主任技術者の試験を受けることになりました。

この資格は情報処理技術者試験ほど有名ではないため、情報がさほど出回っていません。

合格までの道のりを書いて、随時アップデートしたいと思います。

2018年8月に無事に合格しました。

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情報処理技術者試験と比較して、どんな試験か?

私自身、情報処理技術者試験を受けてきたので、その視点から書いてみたいと思います。

情報処理系の人は伝送区分を受験する

電気通信主任技術者試験には2つの区分があります。『伝送交換主任技術者試験』と『線路主任技術者試験』です。

この2つは共通している部分もありますが、試験の中身が違ってきます。

情報処理技術者試験を受けてきた人などは、『伝送交換主任技術者試験』のほうが簡単です。いわゆる、ネットワーク関係の知識を問われるので、理解がしやすいからです。

難易度は?

無理にたとえると、応用情報技術者試験よりは難しく、ネットワークスペシャリストよりは簡単といった感じです。

簡単だ。受けてりゃ誰でもいつかは受かる。

電気通信主任技術者試験は『専門』『設備』『電気通信システム』『法規』の4つのパートからなります。

この4つを一度に合格しようと思うと、幅広い知識が必要になりますが、これらは科目合格で次の試験で免除申請をすることが可能です。

受験費用が高いのですが、金に糸目をつけなければ、一科目ずつ合格していくことも可能です。

科目合格の期限は翌月からカウントした3年後までです。つまり、最高7回の受験で4科目それぞれ1回でも合格していけばよいわけです(最初の科目合格+3年分6回なので7回)。

そう考えれば、簡単にも思えてきますね。

特定の大学の課程(主に電気系)を卒業していたり、業務経験で科目免除になる場合もあるのですが、私は該当しないため、詳しく書きません。

各科目の特徴

各科目ごとに特徴があります。この特徴をふまえて、受験していく順番を決めていくとよいでしょう。

設備

1番難しい科目です。

通信設備などに接していなければ、なじみのないような仕様や技術基準などを覚えることになります。

問題も細かい部分を聞いてくるので、電気通信主任技術者独特の問題文に慣れておく必要があります。

勉強期間は2ヶ月〜3ヶ月を見込んだほうがよいでしょう。

専門

2番目に難しい科目で、内容も設備と重複している問題が多いです。データ通信を選択した場合は、約6割がネットワークやソフトウェア開発に関する問題で情報処理を勉強をしていればなじみがあるのですが、約4割は設備に関連した問題がでてきます。

そのため、設備とセットで勉強するのがオススメです。

データ通信の領域は技術の移り変わりが激しいので、新しい技術も抑えておく必要があります。

勉強期間は2ヶ月〜3ヶ月を見込んだほうがよいでしょう。

法規

3番目に難しい科目です。ひたすら条文を覚えることになるので、とっつきにくさはあるのですが、逆に言えば条文以外の問題は出ないので出題範囲は限られています。そのため、難易度は低めです。

内容がドラスティックに変わることはないのですが、法改正はあるので最新の参考書で勉強する必要があります。

暗記ものなので、試験直前の詰め込みが効いてきます。

勉強期間は1ヶ月〜2ヶ月を見込んだほうがよいでしょう。

電気通信システム

1番簡単な科目です。電気通信システムは計算問題が出るので、難しいと思われがちなのですが、比較的簡単です。

出題される問題もだいたい決まっています。単語を答える問題と計算問題が出てきます。

奥の手として、工事担任者(デジタル1種など3種以外)に合格すれば、免除されます。下記に記事に詳しく書きました。

電気通信主任技術者と並行して工事担任者を勉強する
電気通信主任技術者には、科目免除制度があります。 たとえば、工事担任者(総合種、DD1など)の資格を持っていると、『電気通信システム』の科目が免除になりま...

したがって、電気通信システムの優先順位は一番下げてよいです。常におまけで勉強して、受かったらラッキーくらいな心持ちでよいです。

あえて言えば、問題数が20問しかないので、問題の当たり外れは大きいです。そのため、勉強しすぎてはずれを引くとがっかりするので勉強しすぎないほうがよいです(笑)

勉強期間は2週間〜1ヶ月を見込んだほうがよいでしょう。

受験ストラテジー

受験していく順番が重要です。

前提として、1発合格は優秀な人でないと難しいです。そのため、2回以上での合格を目指すプランをつくります。

まずは試験に慣れる作戦

このプランが一番、オススメです。

試験に慣れるという意味では、最初に法規を受けましょう。

法規は総合的にみると、設備などと比較して難易度も低くて、かつ問題の難易度も各回で安定しています。勉強時間も1ヶ月あれば無理な話ではありません。過去問を解きまくって丸暗記すれば、ほぼ確実に受かります。

また、法規の勉強をしていると「この試験は思ったより難しい」と気づき、電気通信主任技術者の問題の出し方がわかってくるので、他の科目に自分にどれだけ勉強時間が必要か、見積もりもしやすくなります。

(おまけ)余裕があれば、法規と一緒に電気通信システムも勉強します。電気通信システムは、単語を答える問題と簡単な計算問題に限定すれば1週間で勉強することも可能です。おまけ程度に勉強して、受かればラッキーくらいに考えておくとよいでしょう。勉強しすぎないのがコツです。

最初の受験で受けない場合も、電気通信システムはおまけみたいな位置づけで勉強して、ついでに受けておくとよいです。

2回目の受験で、設備と専門のセット合格を目指します。設備と専門は勉強する内容が重複しているからです。この期間は勉強時間を確保しておきましょう。

アンチパターン

いくつか、電気通信主任技術者を受けるにあたって、やってはいけないこと、オススメできないことが存在します。

『表紙に動物の絵が描いてある本』だけで勉強する

本屋にもよく置いてあって定番になっている『表紙に動物の絵が描いてある本(笑)』があるのですが、この本だけで勉強してはいけません。テキストとしても、問題集としても中途半端だからです。サイズ感も手頃で持ち運びしやすいのですが。

この本だけで勉強して試験に臨んだ場合に「なんて難しい試験なんだ」と思うはずです。各科目ごとに難しそうなテイストで本を出していて、必要以上に難しい印象を与えてしまっているのがこの本の功罪です。

あくまで過去問を中心に勉強しましょう。

フォローすると、過去問を勉強するのを前提に最初の導入として使う分には『表紙に動物の絵が描いてある本』もよい本だと思います。

各科目の勉強方法

法規の勉強方法

法規は教科書的な参考書を使わず過去問を5年分、解いて丸暗記するだけで大丈夫です。

下記のパターンがあることに注意するとよいでしょう。

  • 数字を問うパターン(XXマイクロファラドなど)。
  • 似ているものの間違い探し(XXを目的とするなど。条文によって、公共の福祉と言ったり、経済発展と言ったり)。
  • 部分的にはあるが、足りてないものを問うパターン(XX端末設備とXXなど)。
  • 主語が違う(総務省だったり、都道府県だったり)。
  • 接続詞(又は及び、ただし、とか)
  • 冷静にみると、文章のつじつまがあっていない。

電気通信システム

電気通信システムも教科書的な参考書を使わず過去問を5年分、解いて丸暗記するだけで大丈夫です。

計算問題が苦手であれば、全てを解けるようになる必要はありません。ただし、下記の計算問題は中学生レベルの計算でできるので、おさえておきましょう。これだけでもだいぶ違います。

  • 論理回路の計算(ドモルガンの法則を使うやつ)
  • アーラン、呼損率の計算
  • dbの計算

また、過去問がそのままでる場合もあれば、過去問の他の選択肢が答えになる問題もよく出てくるので意識しておきましょう。

設備と専門(データ通信)

設備と専門は、見慣れない言葉ばかり出てくるので、体系的に理解をしていないと頭にはいってきません。そのため、テキスト的な教科書が必要になります。

一番よいのはこちらです。

上記の参考書を参照しつつ、ひたすら過去問を解きまくります。少なくとも、5年分は解きましょう。

下記に注意するとよいでしょう。

  • 技術用語の略称は、何の略か覚えておく(意味を思い出すヒントとなる)。
  • 数字は覚えておく。

試験のときに知っておいたほうがいいこと

他の問題から答えのヒントを探す

午後の試験(専門と電気通信システム)を受けるときに役に立つテクニックです。

伝送交換の場合は専門が5つの分野あって選択することになるのですが、時間が余ったら全ての問題、特に書いてあることが全て正しい穴埋め問題に目を通してしまいましょう。たとえば、専門の問題文に電気通信システムの答えのヒントが書いてしまっている場合があるからです。

一点でも点数を高く取りたい場合は、なかなか有効なテクニックです。

途中退出して、勉強時間をつくる

科目免除を申請した場合にのみ、途中退出が可能なような説明になっているのですが、例えば全科目受験する場合でも途中退出は可能だったりします。

ただし、必ず試験官に質問して許可を得てから教室を出るようにしてください。いまいち、許可されているのか、よくわからないからです。たとえば、「科目免除を申請していなくて全科目受験する予定なのだが、問題を解き終わったので退出してよいか?」と聞きます。

午前中に早々に退出してしまうことで、午後の試験に備えて勉強時間をつくることができます。

喫茶店にかけこんで、事前の詰め込みをしてしまいましょう。

勉強してなくても、全ての科目の問題を解く

電気通信主任技術者という試験は、運の要素(問題の相性)もかなりあります。

運が良かった場合、勉強してなくてもまぐれで合格してしまうこともゼロではありません(もちろん、その人の知識力で合格していることには変わりないのですが)。

勉強していなくても、まぐれあたりを期待して必ず全科目を解いて提出しましょう。

実際、私もほとんど設備の勉強をしていなかったのに合格してしまいました。

合格したときの注意点

ついでに試験に合格したときの注意点も書いておきます。

2018年現在では合格証書は発行されないようです。その代わり、申請して資格証をもらいます。

必ず3ヶ月以内に資格証の交付申請をしてください。期限をすぎると、申請できなくなります。

言い換えると、資格証の申請を忘れると試験に合格した意味がなくなります。

合格すると下記のような合格通知が届きます。

データ通信協会のホームページから申請書をダウンロードして、返信用の封筒と共に送ります。10日ほどで返信用の封筒に資格証が入って送られてきます。

こちらが資格証です。

なお、交付年月日は試験を受験した日ではないので、資格取得日はこちらの資格証に書かれた交付年月日になります。履歴書などに書くときに気をつけましょう。

まとめ

電気通信主任技術者は情報処理技術者試験より情報が少ない試験ですが、本記事が参考になれば幸いです。もしも、参考になった場合はコメントいただけるとうれしいです。

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